2015年1月12日月曜日

「麦の唄」 女声三部合唱譜 演奏ポイント

寒い日が続いていますね。今年はマメにブログをアップしていければと思っているので、どうぞよろしくお願いいたします。

さて、前回より少し間が空いてしまいましたが、今回は、
『NHK連続テレビ小説「マッサン」麦の唄』
女声三部合唱譜の演奏ポイントをまとめました。
編曲した立場からのコメントとして、少しでも演奏のヒントにしていただければ嬉しいです。






「女声三部合唱譜」演奏ポイント


[A]
1番では、まず、Mezzo SopranoパートとAltoパートがメロディーを歌い始めます。Sopranoパートは途中から入りますが、メロディーの上からヴェールのように柔らかくハーモニーを被せましょう。Sopranoパートの入りの部分は、Mezzo SopranoパートからB音をバトンタッチするようなイメージで、自然につながるよう声量を調節してください。

[A’]
転調後、全てのパートがメロディーをユニゾンで歌い、途中からハーモニーが少しずつ現れ始めます。Sopranoパートのみ、この[A’]から[C]が終わる部分まで、1番のメロディーを全て歌います。

[B]
空間の広がりを持ったピアノ伴奏に乗せるように、ゆったりとレガートに歌います。
この部分からはユニゾンではなくハーモニーで歌うことが基本となりますが、強いメッセージを含む「ここで生きて」という歌詞の部分はユニゾンで、言葉を強調するようにしました。歌詞に込められたメッセージを考えて、全員で大切に歌うようにしましょう。

[C]
サビの部分です。テヌート気味に歌い、前向きな力強さを表現しましょう。

E
間奏の後半、2番へのイントロ部分です。未来への希望に胸を膨らませるように、2番へ向かって気持ちを高めていきましょう。

[F]
2番からは、同じリズムによるハーモニー付けだけでなく、声部によってフレーズやリズムが異なるポリフォニックな部分を増やしています。声部間の掛け合いも多くなりますので、言葉のキャッチボールを楽しむように歌いましょう。

[F]はまず、Altoパートのメロディーに、他のパートによるハーモニーの色付けという形でスタートします。その後、Mezzo SopranoパートとAltoパートによって紡がれるメロディーに、Sopranoパートがこだまのように呼応していくパターンが続きます。

[F
カノン風に、各声部が順番にメロディーの冒頭フレーズを歌います。

3小節目の3拍目のコードは、原曲では1番も2番もB♭ですが、合唱に編曲するにあたって、2番はG7にリハーモナイズしています。コードを変更することで半音階の下行進行を生み出し、「惑い」という歌詞の不安な気持ちを表現しました。これは、バッハが活躍したバロック時代に『キリストの受難』や『苦悩』を表す音型として象徴的に使用されていた手法からアイディアを得ています。

そのあとの、「いつか信じる日を経て」から「一本の麦になる」への流れでは、まず、メロディーが各声部に受け継がれつつ、混沌としたハーモニーの中に吸収されながらクレッシェンドで盛り上がったのち、「一本の麦になる」でユニゾンになり、合唱も一本にまとまります。その変化を、劇的に表現してみてください。

G
ここでも、声部間の掛け合いがメインとなります。追いかけるタイミングが早くなり、リズムも細かくなって、より緊迫感が増していきます。

[H]
2番のサビです。1番のサビの部分とは少し異なる音の配分にして、すべての声部に、より旋律的な動きを加えました。それぞれ異なる音の動きを各声部で味わってみてください。

この部分以外にも、それぞれの声部の人が楽しめるようなカウンターメロディーの創作を心がけています。歌っていただいた時、そのように感じていただければとても嬉しいです。

[J]
初めて登場する、16分音符を含む“タ・タ・ター”のリズムが、困難に立ち向かう力強さを強調します。「 」付きの歌詞の部分は、すべての声部が同じリズムでハーモニーを奏でることで、掛け合いをする他の部分との違いを出し、言葉を引き立てています。一度音量を落としたあと、少しずつクレッシェンドしていき、[K]の盛り上がりへとつなげます。

[K]
大らかな気持ちで豊かに歌いましょう。声部間の音の交わり方を意識して、充実したハーモニーを味わいましょう。

[L][M]
[L]の前半は[B]とほぼ同じ動きをしていますが、後半は、Sopranoパートが高音域にまで達し、揺るぎない決心を力強く歌い上げます。
[M]も同様に、2回目のサビのフレーズの後半に、Sopranoパートは高音域を担い、圧倒的な声量によってメロディーの最後を飾ります。確信を持って堂々と歌い切りましょう。

[O]
転調した後のエンディング部分です。ロッカ・バラード風のピアノ伴奏のもと、壮大なコーラスワークを思い切り力強く歌い、劇的に楽曲のラストを締めくくりましょう。



※ピアノ伴奏部分の演奏ポイントは、『「麦の唄」ボーカル&ピアノ譜 演奏ポイント』のページを参照してください

※原曲のキーは「B♭」ですが、合唱編曲は著作者の了承を得て、ソプラノの音域に合わせ、「E」に移調しています。

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